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朴保 新アルバム「架橋~未来へ」  田中律さんライナーノーツ

こんにちは。
今日は新アルバムのライナーノーツ(liner notes;解説文)をアップします。
書いて下さっているのは音楽ライターの田中律さん。

アルバムは無事に7月10日ごろに完成する予定です。




[朴保]


朴保といえば、必ず思い出すことがみっつ。

いっこめはミカン畑の中の暮らし。それまで「ミカンの花が咲いている」とうたってはいたものの、ホンマにその花が咲いているとこにいったことがなかったが、朴保がそこで暮らしていたので、白い花の盛りに訪れることができた。

「トイレは?」と聞いたぼくに「そっち、そっち」と表の方を指差したことといっしょに、遥かに見える遠い海がいつも目に浮かぶ。

ふたつめ。
ほんの短い間だけ存在し、一枚のCD だけを残して解散した東京ビビンパクラブのこと。
「パランパラン」の中にでてくる玄界灘を越えてくるカモメは、ぼくの母方の祖父を思い起こさせる。
「そや、おじいちゃんもあそこ渡ってきやってんな」。

みっつめ。
梁石日原作の大阪アパッチ族を描いた映画「夜を賭けて」の音楽監督としての朴保。
この映画の舞台になった森之宮の焼け野が原のほんねきで、ぼくは生まれたのだ。アパッチ族が活躍している頃ぼくは遠く三重の田舎にいたが、そいでも映画を見て「これ大阪城のねきちゃうやん。ちゃうとこでロケしやったな」といえるほどには、親しかった。

余談ついでにいえば、あそこは戦争中はぐるりと塀を巡らせた場所で、練兵場だった。
わずかに塀が切れるあたりの小さな空き地で夏になると、近所の子どもたちはヤンマをとったものだ。もっとも原始的な狩猟方法、細い糸の両端に薬の包み紙で石ころをくるみ。
それを空に放り投げて、虫だと思って寄って来たヤンマが糸にかかって落ちてくる、という手法。
ウソみたいだけど、ホンマこれでけっこう捕れたんだ。
まだ十にもなっていなかったぼくでも、何匹か捕まえた。シオカラやムギワラと違って、妙に風格があるヤンマはカッコよかった。

そしておそらくはよっつめ、になるであろうのが、このアルバムだ。 橋。
まさに朴保のこれまでの生き方そのものではないか。
想像の上でいえば、一番長い橋は、日本海に架かる橋だろう。
「そんなもんあるかいな」。けど、
瀬戸内海が四国と本州を結ぶ巨大な湖やと思たら、日本海は日本と韓国・朝鮮を結ぶ巨大な湖やで。

ホンマやなぁ。

その橋はまた人々の心もつなぐ橋だ。あの一世を風靡したサイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」(この日本タイトルには抵抗があるが。原詩で橋を架けてるのは明日ではなくトラブルやね)から半世紀を経て、朴保は新しく橋を架けようとしている。


桜はもうすっかり散って、春の雨がパラパラ落ちる日、ぼくは彼が録音中の吉祥寺のスタジオを訪ねた。まだどの曲も姿形をあらわしてはいない。
今日び珍しい24 チャンネルのテープでの録音だ。この日はもっぱら韓国打楽器のかぶせの日だった。プクやケンガリが加わることで、曲は多面的になっていく。

ついこないだうたった金芝河詩、高橋悠治曲の「めしは天」を思い出す。
「天の星をみんなで見るように/飯もみんなのもの/飯が天です」。
そういえばあの国には「天の半分を女が支えている」という言葉もあるそうだ。
それらはぼくの中ではみんな橋につながってくる。

ちっともそれまで知らなくて、この日初めて知ったことだが、朴保は音楽の世界へまず打楽器から入っていったのだ。だからプクやケンガリのダビングを終わって副調整室で聞いている彼の体は実にリズミカルに動いている。
ギタリストでシンガーとばかり思っていたぼくは、ちょっとあわてた。

この日は聞けなかったが歌詞カードによれば、「イムジン河」も入っている。ちょうど40 年ほど前にフォーククルセダーズがうたって、当時は発禁になった、といういわくつきの曲だが、これまた「橋」ではないか。その橋は今まだ架かっていないんだけど。
朴保はこれまでに橋を架けようと、いろんな形で運動に参加している。
彼は今回は音楽という橋を架けたいようだ。

そういえば、アパッチが大阪城の麓で活動している頃、ぼくは三重県伊賀市(当時は名賀郡阿保町)で竹竿を使って小川を渡るワザを身に着けたものだが、橋がなかったら、川のこちらとあちらとは、断絶したままで終わってしまうのだ。

ぼくなんかの仕事もまた、いつも橋を架けてるみたいなものだ。
プクもケンガリもたたけないから「それはええもんやで」と人に伝える「橋渡し」をしているのだ。
このCD を手にしたみなさんは、せいぜいのびやかに朴保の橋を渡ってもろたらええ。時には走りながら。


[田川 律]



「架橋(はし)~ 未来へ」 朴保 バンド 

1  橋
2  山水人(やまうと)
3  桜散る頃
4  砂漠に舞うのは
5  緑やさしく
6  雷雨
7  リムジン河(イムジン河)
8  恨(ハン)
9  希望ヶ丘
10 ゴール無き人生
11  Bob Marley Calling
12  安ビョンス君へ
13  未来へ


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